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営業所長の豹変

営業所は、企業のプロフィット・センター(利益を稼ぎ出すところ)の最前線です。
営業所の最高責任者は、営業所長です。
ですから、営業所内で同一職種内であるならば、異動の権限(営業担当者の担当エリアの変更等)を持つ場合も多いようです。
費用についても、本社で決められた範囲であるならば、ある程度は、使うことも出来ます。
まさに、営業所長は、その担当エリアの経営者とも言えます。

営業所長は、「本社⇒(支社)⇒営業所」と本社の方針に従い、より具体的な営業所方針を立て、実行計画を立案します。
営業所方針は、定量目標(数値目標)と定性目標(行動目標)で、構成されています。
定量目標は、売上や利益目標だけではなく、「市場占拠率(シェア)目標」「新規開拓件数目標」「売掛金回収期間目標」、また顧客満足度を指数化した「CSI(Customer Satisfaction Index)目標」なども含まれます。
定性目標は、定量目標を達成するために、「営業所として、市場特性を考慮し、何をするか」という、具体的な行動目標を設定します。
ただ、この2つの目標は、別々に一人歩きすることが多く、2つをリンクさせていない場合が多いのです。


さて、前置きは、このくらいにして。
今回のテーマは、「営業所長の豹変」です。前回の内容と少しだけ繋がりがありますので、9月19日のブログも参照してください。

今、企業にとって、顧客満足度の向上は、避けて通ることが出来ない必須の取組みになっています。
したがって、本社の方針の中にも盛り込まれていること多く、それを、営業所長は、営業所で実行可能な行動レベルに落とし込んで、営業所方針としています。

現在の企業にとって、「なぜ、顧客満足度が必要か」は、別の機会に述べるとして、営業所のメンバーは、営業所方針に沿って行動しなければなりません。

営業所長は、毎日の朝礼の中で、「顧客満足の重要性」について、説明したり、顧客から送られた「ご意見はがき」(よく、飲食店のテーブルで見かけるものです)を、読み上げたり、営業所内に貼ったりして、メンバーの意識付けをしようとします。

しかし……………
前回のプログで述べたように、月末になると営業所長の顔色が変わり、目つきが変わってきます。
結局「とにかく、なんとしてでも、売れ上げを上げてこい!」が、営業所長の口癖となることが、多いようです。(大変、残念なことですか………)

当然、営業所のメンバーも、「あっ、また、所長の本音が出たな。結局、顧客満足なんて、お飾りみたいなもんだよ」となってしまいます。
こうなっては、その営業所の業績は、徐々に低下し、取り返しの付かないことになっていくのです。
では、こうならないためには、どうすべきなのか?


私は、営業所の定性目標を定量化し、定量目標とリンクさせることをお勧めしています。
例えば、ある営業所の「新規開拓」による月間の定量目標の達成を考えた場合、大雑把に説明すると、こうなります。

【現状】
①総アタック件数⇒1,000件
②総アタックの中から、少しでも見込みがありそうな件数⇒50件(5%)
③見込み件数から上がった具体的な案件数⇒10件(20%)
④受注した件数⇒3件(30%)
⑤3件の平均単価⇒1,500万円
⑥売上合計⇒4,500万円


そして、営業所の目標は、6,000万円/月とします。
仮に②~⑤の数値が同じだとすれば、単純に①を1.4倍にすれば良いのです。
ただ、営業担当者には、限られた時間しかありません。単純に、活動量を1.4倍に出来るとは限りません。
そうすると、どこの率を上げるかです。
営業担当者の能力、スキルを把握し、強化ポイントを設定します。
もし、営業担当者の②のスキルが、最も早く引き上げられるようならば、その部分を徹底的にトレーニングします。

こうした取組みにより、下記のようになります。
シュミレーション】
①総アタック件数⇒1,000件
②総アタックの中から、少しでも見込みがありそうな件数⇒70件(7%)
③見込み件数から上がった具体的な案件数⇒14件(20%)
④受注した件数⇒4件(30%)
⑤3件の平均単価⇒1,500万円
⑥売上合計⇒6,000万円

今回、私が例に上げたのは、②の数値をたった2%upさせただけです。

以上のように、営業所長が月末に豹変しないためには、定性目標を定量化し、定量目標にリンクさせることが大切ということです。
営業所長は、月末になると豹変し、
「売上をもってこい!」
「見込みをもってこい!」
「持ってる見込みを全て、決めてこい!」
「新規の訪問を増やせ!」
「顧客に熱意を感じてもらえ!」
と、抽象的な定性目標、根拠が無い定性目標を、言い続けても無駄だということを知るべきです。

私も長く営業をしていましたから、分かるのですが、どの営業担当だって、「売上を上げたくない営業担当者は、いない」のです。
売上を上げる仕組みを作るのが、営業所長の仕事です。
営業担当者は、その仕組みを使って、売上を具現化させるのです。
したがって、仕組みが悪ければ、営業担当者の売上が低迷するのは、当然のことです。
つまり、営業所の売上げ低迷の原因は、営業担当者ではなく、営業所長の示した、仕組みであることが多いのです。

(だからといって、営業所長の方針に従わないというのは、ダメです。)
そのために、営業所長は、具体的な(定性・定量)目標を示し、その目標を達成するために、メンバーの育成を含め、様々な施策を考え、打ち込むのです。


私が今まで深く関わらせていただいた営業所長にこんな方がいました。

(以下、登場人物名は、全て仮名です。)
山田営業所長は、着任後、自分の営業所の問題点を洗い出し、優先順位をつけ、メンバーにこう告げました。
「我が営業所の問題点は、●●だ。この問題点を解決しない限り、当営業所の業績アップは無いと考えている。そこでだ。佐藤リーダーを中心に、みんなに、どうすれば良いかを考えて、私に提案してほしい。現場を最も良く知っているのは、君たちだからな。よろしく頼む。」

その後、メンバーは、解決策をまとめ、山田所長に提出しました。
第1回目の提出。山田所長は、提案内容の詰めの甘いところを指摘し、okを出しません。
第2回、第3回と、提出し、ようやく山田所長からGOサインが出ました。


最後に、山田所長がメンバーに対して、
「ありがとう。私だけでは、ここまで具体的な解決策は、立てられなかったと思うよ。皆の力だ。私は、解決策の中で、ここと、ここと、ここを担当し、皆をサポートする。それ以外に、私のサポートが必要なところは、何なりと言ってくれ。出来る限りの支援をすると約束する。これから、一丸となって、取り組んでいこう。

最後に、この皆が考えてくれた解決策を、私は承認した。つまり、私は、皆が考えてくれた改善策で、この営業所は、改善され、業績が向上すると判断した。したがって、この解決策への取組みによって、万が一、業績が向上しないならば、それは、私の責任、私の判断ミスだと考えている。業績の責任は、私が取る。君たちに責任は無い。だから、君たちは、君たち自身が考えた改善策の確実、着実な実行だけを考えてくれ。

とにかく、この解決策を正面から取り組んでほしい。」

これだけでも、凄い営業所長だと思いましたが、ある時。
この山田所長が豹変しているのです。
顔を真っ赤にして、鬼のような顔をして、鈴木営業担当者を怒鳴りつけているのです。
横で、じっと聞いていると、私も納得しました。概要は、以下の通りです。
「鈴木っ!(呼び捨て)お前は、どうして、皆で決めたことをしないんだ!お前の今回の行いは、皆に対する裏切り行為だ!皆、どれだけ頑張って、取り組んでいるかは、お前も知っているだろう!皆、何も言わないが、誰も裏切り者と一緒に働きたいと思っていない。お前は、それを分かっているのか!俺は、お前に売上を上げてこいとは、一言も言っていない。皆で決めたことを、絶対にやり通そうと言っているだけだ!俺も営業は長かったから、どんなに頑張っても数字が作れないときがあることも知っている。だがな、皆で取り組むと決めたことを、きちんとやるかやらないかは、お前の意思だ、お前の人間性だ!俺は、裏切り者と一緒に仕事はしたくない。お前も、皆と働きたくないなら、辞表でも何でも書いて、今すぐ、出てけ~っ!」
鈴木君、当時30歳くらいだったと思いますが、もう顔は、涙でぐちゃぐちゃでした。

通常、部下を叱るルールとして、「部下の人間性は、絶対に否定してはならない」とあるのですが、山田所長は、真っ向から全面的に、人間性を否定しました。


数年後、またその会社からご依頼をいただき、とある営業所を伺う機会をいただきました。
なんと、その営業所の所長は、鈴木君でした。

【私と鈴木所長との会話】
私⇒「ところで、あの後、どうした?」

鈴木所長⇒「いや~っ。あの時は、正直言って、まいりました。あの後、私は、2~3日会社を休み、これからどうしようかと悩んでいました。当時の山田所長が言うように、私は皆を裏切った、裏切り者ですし。皆に、申し訳ない気持ちで一杯でした。そんな時、山田所長から携帯電話に電話が掛かってきました。出る訳にもいかず、後で、留守電の内容を聞きました。そうすると、山田所長が、皆、待ってるから、早く出てこい。皆、待ってるぞ。とだけ、伝言が残されていました。私も、このまま退職する訳にも行かないと思い、意を決して、出社しました。皆、何事も無かったように私に接してくれました。そして、朝の朝礼で山田所長が、よし、これで全員揃ったな。鈴木が、戻ってきてくれた。これから、再スタートだ。バリバリやってくれよ!鈴木も、それで良いんだな。私は、ハイと涙ながらに答えました。皆も、また一緒に頑張ろうなと声を掛けてくれました。
実は、後になって、仲間から聞いたんですが、佐藤リーダーが、皆の意見を聞き、まとめて、もう一度、鈴木にチャンスをあげてほしいと、山田所長に具申してくれたそうなんです。その時の山田所長の顔は、本当に心から微笑んでいたと聞きました。もしかしたら、山田所長は、皆から声が上がるのを待っていたのかもしれませんね。」

私⇒「それからは?」

鈴木所長⇒「いや~っ!凄かったですよ。皆、目の色が変わったように、仕事をしまくりました。営業所の業績もあっという間に、改善され、全国でも指折りの営業所になったんです。私も、死ぬほど働きました。だって、私は、もともと裏切り者ですからね。私みたいな裏切り者が、皆に認めてもらうには、皆の何倍も働かなくちゃならないと思いましたし、私に復帰のチャンスをくれた佐藤リーダーや皆への恩返しでもありましたから。そして、山田所長への恩返しでもありますから。
そうしたら、いつの間にか、私は、ここの営業所長になっていました。
私は、特に出世欲も無かったですし、とりあえず年間を通して売り上げ目標さえをクリアーしていればいいんだろと思っていましたから。当時の山田所長は、私の人生そのものを変えてくれました。」

私⇒「なるほどね。山田所長との出会い、そしてその出来事が、鈴木所長の人生のターニングポイントになったのですね。
で、この営業所の業績は、どうなの?」

鈴木所長⇒「今は、全国50の営業所のベスト10には、入っています。当時の山田所長から教わったように、マネジメントしているのですが、まだまだ、山田所長の域に達していません。また、これからは、もっと私のカラーを出して、マネジメントしていかなければならないと思っています。」

私⇒「なるほど。そうですね。きっと、前の所長もそう思っているはずですよ。ところで、その前の所長は、今、どこにいらっしゃるのですか?」

鈴木所長⇒「今は、本社の営業所統括部長をされています。いゃ~っ、月1回の営業所長会議でお会いするんですが、頭が上がりませんね。私以外の所長は、やると約束したことをやっていないと、山田部長に、ときたま怒鳴られていますよ。私は、今でも怖くて、山田部長との約束を破れませんよ。ハッハッハッ。」


少し長くなってしまいました。
営業所長の豹変は、こうありたいものです。


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プロフィール

早野雄二

Author:早野雄二
こんにちわ!「インストラクターの独り言」へようこそ!

昭和35年(1960年)、北海道歌志内市生まれ。
(現在、歌志内は、日本一人口の少ない「市」です。ぜひ一度訪問してください。)
(http://www.city.utashinai.hokkaido.jp/)

大学を卒業後、この業界に飛び込み、あっという間に25年が過ぎました。ビジネスと言うジャンルにとらわれずインストラクターの視点で、綴って行きたいと思います。

2007年7月NASSAN V-up PROGRAM のV-FASTの販売会社への導入を評価され、日産自動車株式会社 CEO Carlos Ghosn氏より「V-up課題達成優秀賞」の表彰を受ける。

著書:
⇒「営業マン次の一手」(共著:総合法令)
⇒現在、2冊目企画中

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